文章論

書いて生きていくプロ文章論

上阪 徹(うえさか・とおる 1966-職業自称「ブックライター」ジャーナリストとせず。

(東京:ミシマ社 2010年12月)

内容紹介 ベストセラーを続々と手がける著者が明かす、生きた文章論。「書いて生きていく」人のために、人に会い、人に聞き、人に伝える、テクニックを超えたコミュニケーションの心得を説く。

前回は、『学術論文・レポートの書き方 』についての本を読んだわけですが、また違う面からの書くことについての話です・・。
「伝える」ための、という「文章を書く上での心得」ですね・・
論文の書き方の本に挙げられていた参考文献からもう3冊、
糸井重里監修の『オトナ語の謎』を吹き出しながら読み、

もう一つの「謎」本、 『バーチャル日本語役割語の謎』、 
『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』(西林克彦著)は、 紙のノートで若干ぬきがき作製。
最後のものは、読む側の話なのだが、「善きものの魔力」・「無難という魔力」、「当たり障りのない」(ステレオタイプの)スキーマ、というのは、書くことにもあてはまりそうであった・・

スキーマ=読み手が既に持っているある事柄に関するひとまとまりの知識

第1章その文章は誰が読む?が読む?

文章の怖さを知っていますか?

==以下引用(目次読書)===========

メールというのは、文章の怖さを知る上で最もわかりやすいツール
実際に会うともちゃんとした人なのに、メールではどういうわけかあまり印象がよくない
相手にいやな思い不愉快な思いをさせているかもしれないという認識はありません
メールはダイレクトにメッセージのみを発信してしまう危険性がある。
受け取る準備ができていない受け手にもいきなり刺さってしまう。
これはきわめて怖いことである
メールは取り返しのつかない凶器になる


これは本当ですね!この人のメール人格が厭だ、メールを見るのが怖い、お付き合いはごめんな気分になってしまったことがありました。

読んでもらうことの大変さを認識していますか?

読者には読まなければいけない義務などないのです。
冒頭の文章を印象的なものにして、一気に読ませる流れを作る・・

誰に向かって書く文章ですか? 

読者が誰なのか認識せずに的確な文章は書けない。

何のために書く文章ですか? 

目的をしっかり認識しておく必要がある。
文章を書くということが主役になってしまっている。
文章はほおっておくと勝手に暴走する危険がある

自分で理解したことを書いていますか? 

読者は基本的に、難しい知識などをもっていないし、求めてもいない。
むしろ優しい文章で物事を理解したいと思っている

上手に見せようとしていませんか?

読者の立場に立てば、うまい文章でなく、わかりやすい文章 を読みたい。 「この人は文書がうまいな」と「読者が」思う人というのは、そういう文章を書いている人

賢く見せようとしていませんか?

「賢さ」を問われるべきは、どう語るかでなく、何を語るか

文章を書こうとしていませんか?

何より優先すべきは、伝えたいことがわかりやすく伝わること

形容詞を多用してしていませんか?

形容詞は使わない。数字や事実を意識する

具体的な「話」を一つでも入れましたか?形容詞を多用してしていませんか?

文章はひねり出すのでなく、すでにある事実を組み替えていくもの

第2章 伝わる文章はここが違う

何を伝えたいか、整理できていますか? 

何を書くか、を自己本位に決めていませんか?

「世間相場」を知っていますか? 

あまりに優しく書きすぎてしまうと、読み手はバカにされているのかと思ってしまう。逆に難解な用語が一つでも多くなれば読者は読み進めてくれない。 

読み手が知りたいことを想像できていますか?

書く前に文章の構成を考えましたか?

いきなり書き始めるより圧倒的にに書きやすくなる

導入に気を配っていますか?

とにかく「一気通巻」で読んでもらうにはどうすればよい、ということ。導入に、最も印象深い内容、気になる内容を盛り込み、で出しに気をつける。間違ってもやってはいけないことは、「私は~」といったごく普通の始まり方だと思っている。

展開をしっかり考えてから書いていますか? 

とりわけ 「また」「さらに」をなるべく使わない。これを使うと、どうしても流れが平板で面白くないものになってしまう。 

読み手に何か発見がありますか?

挑発だけでなく安心もさせていますか? 

自分が周りからどう見られているか。それを理解したうえで、意外な挑発のことばを発してみたり、意外な安心のことばを葉してみたりすることで、読み手をハッとさせることができる、ということです。 

第3章 プロ文章家の心得

読みやすくなる工夫をしましたか?

長い文章を書いていませんか?

手垢のついた言葉を使おうとしていませんか?

慣用句的な言葉を使うべきではないと思うのは、それが、「わかっているようで、実はよくわからない」言葉である可能性が高いから、です。 

リズムを意識していますか?

自分で読み返してみましたか?

書いた後、寝かせていますか?

読む側は醒めている ることが多い。本来伝えられたものを伝えられなくなる可能性があります。最も意識すべきなのは、実はメールかもしれません。 

誰かを不快にさせていませんか? 

批評は批判をする側は、対象があるからこそ存在できる文章なのだということを認識し、少なくとも対象へのそれなりのリスペクトがあってしかるべきだと思う。まるで誹謗中傷をするためだけに文章を書くというのは、なんとも寂しく、悲しいことだとも思います.

批判的な視点だけで書こうとしていませんか?

何かや誰かを批判する文章というのは、比較的書きやすいものだという。批判的な文章を書いていると、文章を書けたかのような、うまくなったかのような気になってくる。それは文章書きとしての不幸な落とし穴である、と。

「これだけは」を持っていますか?

いい文章を読もうとしていますか?

なぜいい文章なのか分析していますか?

第4章 「話す」よりも「聞く」のが大事

以下は取材術なのでここまでとします
「相場観」が大事という、それが「プロ」なのですかね。
「わかっているつもりでわかっていない」言葉・・気軽に使われている経営やビジネスの用語は、実は、多くの読者がそれを理解していない・・
ここで。「いい質問ですね」のあの方が必要とされる・・