『スマホ脳』 新潮選書(882)を読む
『スマホ脳』 (新潮選書882)
アンデシュ・ハンセン/著、久山葉子/訳
2020/11/18刊
新潮社のベストセラー
「スマホのアプリは、脳に快楽物質を放出する「報酬系」の仕組みを利用して開発されている」「スマホを傍らに置くだけで学習効果、記憶力、集中力は低下するという著者の指摘には驚く。スマホ断ちの時間は絶対に必要だ。」池上彰
“Insta-Brain”https://president.jp/articles/テクノロジーのメリットとデメリット
【目次】
(人類史上、ここ数十年ほど急速にライフスタイルが変化したことはない。これまで人類が体験したことのない種類のストレスが存在するようになった。)
(人間の脳はデジタル社会に適応していない。
生物学的に、睡眠や運動の必要性、お互いへの強い欲求が備わっていること。
現代社会と人間の歴史の「ミスマッチ」
人間がテクノロジーに順応するのでなく、テクノロジーが私たちに順応すべき。
金儲けのために人間の特質を利用するのではなく、もっと人間に寄り添ってくれるような 製品を求めること。)
(負の感情の根源はストレス)
(動物にとってストレスとは恐怖の3分間のこと、その3分が過ぎれば自分が死んでいるか敵が死んでいるかだ。「闘争か逃走か」人間の感情が果たしてきた役割。不安や鬱が人間の生存率を左右してきたこと。身体のストレスシステム-基本条件が、危険な世界から私たちを守るべく進化してきた)
(ドーパミン=脳内の伝達物質の一つ。何に集中するかを選択させる、人間の原動力。ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えること
エンドルフィン=体内のモルヒネ。ストレスのシステムと同様に、脳内の報酬システムは何百年もかけて発達してきた。スマホは報酬システムの基礎的なメカニズムをダイレクトにハッキングしている。)
マルチタスクの代償/脳は働きが悪いときほど自分をほめる/かぎりある作業記憶/サイレントモードでもスマホは私たちの邪魔をする/リンクがあるだけで気が散る/私たちはさらに気が散るように訓練を重ねる/手書きメモはPCに勝る/長期記憶を作るには集中が必要/脳は近道が大好き/グーグル効果(デジタル生健忘)――情報が記憶に入らない/周囲への無関心
(人間はマルチタスクが苦手だ。集中力が低下、作業記憶にも影響。脳には切替時間が必要。注意残余(attntion residue)作業記憶を長期記憶へと移動するための固定化=情報をその人の個人的体験を融合させ、「知識」と呼ぶものを構築する。→スマホがそばにあるかでで、集中や記憶が妨げられる)
(ブルーライトは、メラトニン合成が減少させ、体内時計を2~3時間巻戻す→睡眠時間が減る。睡眠の質が落ち、翌日疲れている。)
(比較は喜びを奪う。セロトニン-=気分に影響を与える伝達物質。心の平安、バランス、精神力に関わる。SNS投稿・・手薄になる自己検閲。)
謝辞
人生のバイブルに――訳者あとがき
(人間の進化の見地から、適度な運動とスクリーンタイムを説く)
9章に来て少し論調が変わったようだ・・うむ・・?
いや、 そうじゃなくて、人類の知能で、以前の100にあたるのは現在の130で、かっての知能指数100は今は70位だろうという話の後で、スマホによって、知能指数が10くらい下がったのではないかという話をされても、それとこれでは話が切断されてしまって、つながりが見いだせず、ん??という気分。
研究が追い付かず、
「人間の進化の見地から、適度な運動とスクリーンタイムを説いている」というのはまぁそうなんだろうし、
答えではなく??の問いの書であるということだ‥けれど、・・
ジブンとしては、スマホ依存ではないが、他に、反省すること(依存していることの反省)はある・・その点で有意義な読書ではあった・・
first updated 2021 10; lastModified: 2021年