英国庭園物語?
「植物から見たヨーロッパの歴史」を受講して、またまた英国庭園熱がぶり返している(20180114)
『図説 英国庭園物語 (ふくろうの本)』小林 章夫 (著)
(以下 河出書房新社http://www.kawade.co.jp/での紹介 から)
贅を尽くしたカントリー・ハウスからさり気ない街角まで、貴族も庶民も情熱を傾ける英国の庭。生まれながらの庭師・英国人の「趣味」の歴史をたどり英国人気質に迫るユニークな英国文化論。
『図説 英国庭園物語 (ふくろうの本)』
目次読書
プロローグ
ガーデニング・ブーム:
都市文明が発達し、高度技術社会が誕生した結果、反動として自然への回帰が叫ばれている あまり元気の出ない時代
イギリスの自然
19世紀末から20世紀にかけてイギリスで大きく取り上げられ今でも続いていることがら 美しい自然景観が失われていくことへの哀惜→保存「ナショナル・トラスト」を生む(1895年生まれ)
ナショナル・トラストはイギリスの国家の衰退(経済力の低下)を反比例するかのように成長した
誕生100年後約20万ヘクタールの土地、歴史的建造物は200 庭園は150
英国庭園にようこそ
イギリス貴族の館カントリーハウス
北ヨークシャーのファウンテンズ・アビー
ケンブリッジシャーのウィンポール・ホール
ウェールズのポウイス・カースル
カントリーハウスの名館:チャッツワース・ハウス
バキングシャーのクリヴデンの庭園
Walls,Knots,Hedges
- ノーフォークのオックスバラ・ホール: 庭は本来囲われた小空間であったhttps://www.nationaltrust.org.uk/oxburgh-hall
- サリー州のポルスデン・レイシー: ヘッジとは生垣のこと
- ダービシャーのサドベリー・ホール: 蝶結びのように作ったり、いろいろ凝った模様にする「ノット・ガーデン」 コリンファースの「高慢と偏見」のロケ地
Border at Oxburgh Hall
Orangery,Garden House and Temple
- ケント州のスコットニー・カースル「オランジェリー」 本来は寒い気候の中でオレンジを育てた温室(コンサーヴァトリー)scotney-castle
- スタウァーヘッドのガーデン・ハウス
- 北ヨークシャー リーヴォール・テラス&テンプル
Chiswick House: the Ionic temple.
Maze
庭に迷路をしつらえることは古くからあった 多彩な空間会陰出としての意味だけでなく、大人たちもここで楽しめるハンプトン・コートの迷路はもっとも有名
https://en.wikipedia.org/wiki/English_landscape_garden
Grotto&Haha
- スタウァヘッドの洞窟 英語のグロット―はグロテスクと関係がある
- 「ハーハー」(空堀)
Folly
- フォリー(愚劣なるもの)遊びの建物
- スタッフォードのジャグバラ・エステートのアーチもフォリーの一種
Great Trees &Notable Shrubs
- 樹木 何百年という年月を経た大樹
- 灌木や茂み
Herbs&Roses
- キューガーデンのハーブ
- オールド、イングリッシュ・ローズ、球根、シャクナゲ
Water Plante&Fruits
- 水生植物
- リンゴの木
Srarues&Ornament
- 庭園の彫刻 クリヴデンの不気味な怪物の頭
- 噴水の装飾
Formal Waters&Natural Waters
- 建物の周りに彫られた掘割・川・湖
- 自然のままに流れる水 橋 テームズ川の借景
- オックスフォードのバスコットの噴水
Animals
- 羊と牛
- ご領主様が乗る馬と忠実な友の犬
Rock Gardens&Wood Gardens
- ケント州のエメッツ・ガーデン ロックガーデンは日本の庭にヒントを得た
- バッキンガムシャー のクレイドン・ハウス シノワズリ―:18世紀から19世紀にかけ中国趣味がヨーロッパを席捲
Pleasures in Gardens
- 庭園を愛でる楽しみ
- 各地で庭公開
第一章 古代からルネッサンスの庭園
- エデンの園 ホメーロス「アルキノオスの園」 ウエルギリウス「農耕詩」
- 中世の庭 チョーサー「カンターベリー物語」 庭&生殖の神プリアーポス「愛の園」エロスの庭
- 瞑想と癒しの場 ラテン語「クラウストルム」((囲まれた土地)→ドイツ語「クロースター」(修道院)の中庭(簡素 ハーブ)
- チューダー朝の政治的記号 ハンプトン・コート宮殿 枢機卿トマス・ウルジーイタリア・ルネッサンス様式→ヘンリー八世テューダー朝の庭園様式(紋章学上の動物をあしらった庭 王家が時間を管理するという意味での日時計 威容 活力あふれる野望が体現される庭)
- ルネッサンスの庭 ロバード・ダドリーのケニスワース城
- 植物の慰め ダービシャーのカントリーハウス「ハドン・ホール」
第二章 カントリーハウスの大庭園
- (イギリス人第一の趣味)歩くこと パブリックフットパスを歩く
- (イギリス人第二の趣味)カントリーハウス巡り
- ガーデン(我々のイメージする庭)とパーク(森・林の広がる世界)
- ジャコビアン様式 エリザベス一世時代とジェームス一世時代の間の装飾の変化 17世紀初め「ハットフィールド・ハウス」名建築家イニゴ・ジョーンズ
- ウォリック・カースル リーズ・カースル
- ロングリード・ハウス(ロンドン南西ウォルトシャー)
- 古典的庭園美 ウォルトン・ハウス
- マナー・ハウス(荘園屋敷) ペンズハ―スト・プレイス (ケント州)
- 田園の変質
第三章 庭に淫した詩人
- 失われた庭
- アレグザンダー・ポープ
- トウィッケナム・ヴィラ(ロンドン ポープの別荘・終の棲家 パラディオ様式)
- 洞窟と隠遁
- 多様性の中の統一 ポープ
- 不規則の美と中国趣味 サー・ウィリアム・テンプル
- 風景庭園の萌芽 ジョゼフ・アディソン 人工に似ている自然
第四章 イギリス式庭園の誕生
- ブレナム・パレス 18世紀のカントリー・ハウス 18世紀半ばにケイバリティ・ブラウンが大改造
- カースル・ハワード
- 風景庭園と整形庭園
- イギリス式風景庭園
- 破壊の天才
- 絵画のように
- 英国的自然 ウーバン・アビー(べドフォートシャー)
第5章 ピクチャレスクの庭
- ピクチャレスク 18世紀後半「絵になる」風景 ロマン派詩人による湖水地方の礼賛へ
- ウィリアム・ケン オックスフォード近く「ラウシャム・パーク」(1738)
- ロバート・アダム ダービシャー「ケドルストン・ホール」(1759-1765)
- ハンフリー・レプトン ロンドンの「ラッセル・スクエア」(18世紀末)
- カントリー・ハウスの経済学 1830年代に黄金期を終える 風景庭園成立は16世紀以来の「エンクロージャー」がさらに強められた18世紀半ば 維持管理の重み
- 自然保護 ブレナム・ハウス現当主 第11代モールバラ侯爵 広大な敷地の維持費捻出のため、邸・庭園の解放 入場料・結婚式会場
第六章 イギリス庶民の庭
- 王立植物園 「キュー・ガーデン」(1759)ジョージ三世の母オーガスタ サージョセフ・バンクス王立協会会長 「プラント・ハンター」
- パゴタ(1762)と花壇 2万5千種の植物 標本700万の研究期間 ウルフの短編「キュー植物園」
- ハイド・パーク(元王室の御料林) 一般公開は17世紀初頭 1768年まで鹿狩りができた サーペンタイン(蛇)池1730年ケンジントンガーデンの「サンクン・ガーデン」
- リージェンツ・パークのクィーン・メアリー庭園」、「チェルシーの薬草園」
- 都会の「プライヴェート・ガーデン」〈鍵付き フラットの何人かで使える庭〉
- 空中庭園と箱庭 ヴィクトリア時代鉢植え流行 ウィリアム・ロビンソン『ザ・ガーデン』誌 テラリウム
- ナショナル・トラスト【民間ボランティア団体】19世紀末~20世紀 最近管理する庭園が画一で単調という論争があった
- エピローグ 「ナショナル・ガーデン・スキーム」(イギリス手庭園機構)3500の個人庭園の一般公開とそのガイドブック=「イエロウ・ブック」売り上げの寄付
あとがき
参考文献
赤川裕「英国ガーデン物語―庭園のエコロジー」
川崎寿彦(1929‐1989)「庭のイングランド―風景の記号学と英国近代史 」
杉恵惇宏「英国カントリー・ハウス物語」
高橋哲雄「イギリス歴史の旅」
田中亮三・増田彰久「英国貴族の館」
マーク・ジルアード「英国のカントリ-・ハウス」 森静子訳
アン・スコット=ジェームズ「庭の楽しみ―西洋の庭園二千年」横山正訳
スティーヴ・ジョーンズ「18世紀の美術」高階 秀爾, 大野 芳材訳