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「藤沢令夫著作集 7 自然・文明・学問」 

藤沢令夫著作集 7
藤沢 令夫/著
岩波書店 2001年06月

著者紹介 哲学,京大教授,西洋古典哲学史
Wikipedia藤沢令夫(ふじさわ のりお、1925年6月14日 - 2004年2月28日)
1925年(大正14年)長野県松本市生まれ 
広島で中高時代を過ごし、1945年3月に卒業して海軍予備生徒に、
旅順で兵役のまま京都大学文学部哲学科に入学 復員は1946年7月 師は田中美知太郎梅原猛は同級 今道友信(アリストテレス研究)は九州大学での同僚
1974年10月~1978年1月 田中美知太郎と共同編集で「プラトン全集」15刊別巻1(総索引)刊行
1989年 京都大学学術出版会設立 初代理事長
1997年 「西洋古典叢書」刊行開始:「西洋の知と教養の基底の巨大な全容を提供する」

著作集全7巻の最終巻で、 「現代における哲学の存在理由は何か」・・といった話に始まるエッセイ集だが、ざっと読んだ。 
「スクールという英語の語源になっている「スコレー」というギリシア語があって、これは学問に必要な「閑暇」という意味なのだが、今の学校の学期中には閑暇など全くない」といった「生活と想念」の感慨とか、、歴史家トゥキュディデスの「人間の本性が同じである限り常に起こり続けるであろう多くの過酷な戦い」という語も二回は書かれていたな、とみた・・いま、戦争(「端的な悪」)、それが気になるからだろうが・・
もう一つ最後の「解題」(藤沢令夫に師事能力内山勝利)にあった、岩波文庫・私の三冊、というのをここに挙げておく

1、『明暗』夏目漱石 
中学初年のころ、漱石の本を岩波文庫で一冊ずつ買って読むのを無上の楽しみとしたのが大人の読書への目覚めだった

2、『和漢朗詠集』(山田孝雄校訂)これも少年時代の愛読書。
「和」と「漢」が一体となった独特の対句のリズムが大好きだった。今なお折に触れて、あれこれの詩句が口に出てくる。

3.『国家』(プラトン/藤沢令夫訳)自分の訳書で恐縮ながら、哲学の古典を代表するプラトンの主著。「勧めたい書物」として挙げざるを得ない。さまざまの哲学的主題が国家論の枠内に縦横に折り合わされている。」

1 自然・文明・学問
2 見うしなわれた原像
3 プラトンの倫理学寸感
4 ギリシア哲学研究の条件
今日に伝わるギリシア原典が外延的に有限量に見えようと、紀元前にさかのぼる古代以来の注釈の伝統(文献)の蓄積(洪水)は深刻セネカ「かって哲学であったものが、今や文献学になり果てた」                                 
5 アリストテレス哲学の問題性
How to be aPlatonic non-Platonistというのが彼のディレンマであったとも言われる
6 新プラトン派哲学者による古註のことなど
7 問題の所在-上山春平氏への返信
上山 春平(うえやま しゅんぺい、1921年1月16日 - 2012年8月3日)
8 波多野精一『時と永遠』
波多野 精一(はたの せいいち、1877年7月21日 - 1950年1月17日))
9 プラトンと数学
10 ロゴスへの希求
11 オイディプス王の旅
:悲惨と崇高は、ギリシア人が「死すべきもの」と呼んだ、人間存在の在り方そのもの
12 ソロンからプラトンへ
13 人間にとって古典とは
14 西洋古典と私
15 ソロン
16 哲学的人生観ということ
17 <技術> 概念のこと
18 科学技術文明の未来像
19 デモクラシーについて
20 哲学の課題
21 科学技術と人間
22 全一的な <知> の回復を
23 現代文明の世界観
   アリストテレスは、目的外在で効率型の行為を「運動(キーネーシス)と呼び、目的内在の行為を「活動」(エネルゲイア)と呼んで、後者こそ人間の真の行為の在り方であると認定した。すべてを機械化してひたすら”高速社会”を目指す現代文明の起動因は「運動の原理」  生存・行動のための直接的な有効性と、同時に部分的・抽象的なとらえ方であること その危険な二重性をよく見据えること
24 思想としての科学技術
25 人間と災害
26 原点に返る世界観を
27 グロテスクな経済大国
28 ライフライン考
29 教育は何を目ざすのか
30 無用の学こそ有用
31 嘘から出た真実
32 頑張れ、文系学問
33 卒業論文の季節
34 在外研究の一年間
35 断想
36 中国寸感
37 信州で過ごした少年時代
38 哲学科の昨今
39 生活と想念
40 共通一次の舞台裏
41 二十五年の春と秋
42 「哲学の道」を歩く
43 自分と出会う
44 現代のことば
45 「転業」と風景の変化と
46 わが来し方と博物館
47 赤い夕日の満州で
48 「建都一一五〇年」のこと
49 常に本格を求めて
50 吉川幸次郎先生のこと
吉川幸次郎(よしかわ こうじろう、1904年3月18日 - 1980年4月8日)
51 愚かしさからの解放
52 わがアリストテレス研究史の一齣
53 交遊今昔
54 追悼田中美知太郎先生
田中 美知太郎(たなか みちたろう、1902年(明治35年)1月1日 - 1985年(昭和60年)12月18日) 55 清水純一君を偲ぶ
清水 純一(しみず じゅんいち、1924年7月- 1988年11月1日)
56 緊迫の青春脈々
57 追憶宮崎市定先生
宮﨑 市定(みやざき いちさだ、1901年(明治34年)8月20日 - 1995年(平成7年)5月24日
58 八木俊樹君とのつき合いと京都大学学術出版会
■八木俊樹1943年~1996年(享年31歳)http://www.geocities.jp/liberationsya
59 追悼井上英司君  
ギリシア語で人間の別名は「死すべきもの」 読売新聞「光と闇の新世界」


プラトン 国家 岩波文庫全2巻、初版1979、改版2008 ワイド版2002

どういうわけでこの本を読もうと思ったのか?
ちょっとギリシアテイストを味わいたかった?
簡単な哲学の先人に関する試験でアリストテレスが良くわからなかったからだったのか、
「正義(ディケー)の女神」の象徴を見ていたからか・・
そう、  「ソロン」の章にある、「正義の女神のおごそか礎をうやまわない非道」とあるが、
法廷物のドラマを見て、 「正義の女神」をもっと見たくなり、 ついで、ギリシアにさかのぼる「正義」?ということで 少々ずれて、 「藤沢令夫著作集」の最終巻「7 自然・文明・学問」 を、図書予約したわけであった・・ で、読むべきはこっちなのだった・・

『国家』は全10巻からなるプラトンの代表作で、
正義について」という副題がつけられています。 

国家〈上〉 (岩波文庫)


プラトン『国家』の内容!洞窟の比喩は現代でも新鮮 | | TRENDERS NET

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