「デザインの国イギリス」
「デザインの国イギリス」
「用と美」の「モノ」づくり
ウェッジウッドとモリスの系譜
山田眞實[著]
創元社
1997年4月
内容紹介(「MARC」データベースより)
「モノづくり」という点からイギリスの文化について考えてみると、イギリスのモノを大切に使う精神が見えてくる。いつまでも魅力を失わずに使いつづけられているイギリスの日用品の素晴らしい伝統を探る。
最終章のみ、以下引用
第6章 彼らのメッセージ
日常の中に美をもとめて
ハーバート・リード (wikipedia)(Sir Herbert Edward Read、1893- 1968)
の「ヒューミニスティック・アート」との対比において「アブストラクト・アート」という概念は ウィリアム・モリスたちが知らなかった「芸術としての機械製品」の存在を教えてくれる
産業革命の結果の社会問題(労働の質の低下、職人の工芸技能の伝統の衰退・消滅、、公害と自然破壊、資本家と労働者の経済的格差、都市のスラム化、趣味の堕落など)
趣味の堕落という点では、工業化の大量生産
人々の「手仕事」への執着と「時代物(アンティーク)」愛好に象徴される過去の栄光へのノスタルジアを満足させる装飾過剰な製品が富や社会的地位の象徴に
モリス:(wikipedia)(William Morris、 1834- 1896)
「芸術とは労働におけるよ喜びの表現である」、「作り手」の喜びのこもった手づくりの製品は「使い手」にも喜びをもたらす
日用品=小芸術(モリス)、「アブストラクト・アート」(リード)
イギリスデザイン史上最大の巨人=ウェッジウッドとモリス(byリード)
「近代」の超克
1960年ごろからの社会状況;情報化社会、消費社会、後期資本主義
1970年代、80年代;「ポスト・モダン」
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18世紀後半に起こった産業革命とフランス革命
19世紀の「反近代」運動;ロマン派詩人たちやカーライル、ピュージン、ラスキン、モリスら(近代を生きた人々)の産業革命への抵抗運動を再認識・再評価;「伝統」「手仕事」などのコンセプトを「近代」に対峙させる、
「メカニカル」で強大な力から「オーガニック」なものを死守しようとしたもの 「中世」というモデルを提示
モリス(19世紀後半)の師ラスキン『建築と絵画についての講義』(1853):「中世主義(ミーディ・ヴアリズム」という言葉を初めて用いる→ 「よき趣味(グッドテイスト)」、イギリス人の気質の一つ、「手仕事」へのこだわり「時代物」への執着に拍車をかける 社会批判のモチーフとして「建築」や「装飾芸術」という日常生活に不可欠で親しいものを取り上げたことこそ、評価されるべき
「モノ」・消費・人間
ジョナサン・ウェッジウッド(18世紀後半)の成功は、消費者の「差異化」への欲望を巧みに刺激し、「衒示的消費」を促したとにある
L.C.B.シーマン:「イングリッシュ・スノビズム」=一つ上の階級の生活様式や好みを模倣する欲望
とりあえずここまで(20180203)