『人類がたどってきた道』を読む
『人類がたどってきた道―“文化の多様化”の起源を探る』
海部 陽介 (著), 日本放送出版協会 (2005/4/1)刊 NHKブックス
内容(「BOOK」データベースより)人間の創造性の根源を解き明かす。文明を築き、ロボットや宇宙旅行までも可能にする私たちの創造性。この能力ゆえに私たちの文化は発展し、多様化した。世界各地で進められている遺跡調査から、今、私たちの創造性の起源が見えてきつつある。私たちの種、ホモ・サピエンスのアフリカにおける進化、そして5万年前に始まった祖先たちの世界拡散という人類最大のドラマを、最新の研究成果に基づいて鮮やかに描出、私たちの由来と、多様な地域文化の成立を解き明かす気鋭の労作。
内容(「MARC」データベースより)
商業・都市・大学・芸術の発生、時間観念の数量化、ユダヤ人の排斥など、現代に続く「ヨーロッパ世界」「西洋文明」は、「中世」に初めて誕生した。従来の時代区分と中世観を根底から覆し、「西洋史」の核心に迫る。
(表紙)
読みごたえのある本である。また、この表紙の写真に驚きました。(このセリフはシリーズ化か?)
これは、7万5千年前のオーカー片に刻まれた人類最古の抽象模様だそうだ。
その話は、第3章に詳しい。
南アフリカのブロンボスBlombos洞窟で発見され、2002年に発表されたという。
(Photo by Chris Henshiwood :HP Homo
Symbolicus)
■Webナショジオ「研究室に行ってみた。国立科学博物館 人類史研究グループ 海部陽介」
島嶼化というのは動物学の概念で、その名の通り、孤立した小さな島で動物が矮小化したり、時には巨大化したりする現象をさす。
人類の中でも、我々ホモ・サピエンスは、その名の通りとてもホモ(均質)な存在なのだという。
気に入った言葉としては「人類の5万年分の知の遺産相続」-知の遺産仮説
こちらのブログに5000年とあるので、見直したが、
リチャード・クラインの「神経仮説」:現代人の認知・行動能力は、約5万年前にアフリカで急速に(進化学の用語では断続的並行的に)進化した
・・最近の事態は、クライン説に不利な方向に向かっている
(5万年前からの後期石器時代以前の中期石器時代(25万年前から)に先進的な文化要素が存在する)
それはともかく、「伝統の起源は5000年前どころが5万年以上前までさかのぼる。別の言いかたをすれば、アフリカにいた共通祖先とは私たちそのものなのだ、この考えを「知の遺産仮説」といい、本書の核心に据える」とp93にあり通り、
「私たちの基本的な能力は遥か昔5万年以上前のアフリカの共通祖先の時点で確立していたという可能性」の話だったよね。
「人間の創造性の根源を解き明かす書」という惹句
以下目次読書。途中です。もう少し追記したいが、とりあえず保存(20150804)
【目次読書】
初めに━人間の文化はいつ多様化したか
プロローグ
世界中に分布するヒト
ヒトの特徴は、二足直立歩行、脳が大きいこと、手先が器用、複雑な道具を製作し使う、言語と文化をもつ、そして、分布域の広さ
霊長類は熱帯~亜熱帯に適応した動物だが、ヒトは非常に幅広い気候・植生体に順応している
『銃・病原菌・鉄』
1997年 ジャレド・ダイアモンド著ピュリッツアー賞
モンゴロイド・プロジェクト
1989~91年 文部省重点領域研究「先史モンゴロイドの拡散と適応戦略』(学際的研究プロジェクト)赤沢威
第1章 ホモ・サピエンス以前
一つではなかった人類の系統
1970年代ごろまで、人類は猿人、原人、食う人、新人という段階を通って一直線に進化してきたという考え
ホモ・サピエンスとは誰か
ホモ・サピエンス以前の人類史
石器文化の発展
第2章 ホモ・サピエンスの故郷はどこか
1980年代以前
多地域進化説
アフリカ起源説
化石が示唆する過去
遺伝人類学が復元する過去
年代測定が揺さぶる解釈
ジャワ原人の運命
決定的な証拠
新しい動き
第3章 ブロンボス洞窟の衝撃━アフリカでなにが起こったのか
変わるMSAの位置づけ
革命はなかった
世界最古の「模様」
「模様」の意味━シンボルを用いる行動
世界最古のアクセサリー
シンボルを用いる行動の起源
最古の埋葬
旧人によるシンボル操作
骨器の登場、漁のはじまり
古さは本物か
ブロンボスは特異な遺跡か
石器技術
現代人的行動のリスト━再びホモサピエンスとは何か
言語の進化
第4章 大拡散の時代
知の遺産仮説
現代人的な行動能力の遺跡証拠
大拡散
祖先たちが歩いた世界
拡散は何回起こったか、なぜ拡散したか
第5章 クロマニョン人の文化の爆発━西ユーラシア
地底に眠る大遺跡
クロマニョン人の発見
ネアンデルタール人の姿
偏見からの解放
上部旧石器文化
狩猟活動
石器、骨角器、土器のスペシャリスト
機能的な住居
社会間ネットワーク
クロマニョン人たちの芸術活動
壁画はどうやって描かれたか
何が描かれだか
なぜ描いたのか
芸術の爆発?
ポータブル・アート
最古の楽器
文化のダイナミズム
ネアンデルタール人の埋葬
謎の文化の主
ネアンデルタール人の本当の姿
消えたネアンデルタール人
クロマニョン人はどこから来たか
上部旧石器文化の終焉
第6章 人類拡散市のミッシング・リンク━東ユーラシア
ミッシング・リンク
中国の旧人とスンダランドの原人
カフゼーとスフールの謎
沿岸移住仮設
日本列島の重要性
山頂洞人の発見
ヨーロッパとの共通点
ないはずの石器
儀礼を伴う埋葬
芸術活動
大陸南方の文化
モンゴロイドの集団
アイヌとネグリト
モンゴロイドの特徴の由来
アジア集団の形成
日本人のニ重構造性
誰が一番進化したか?
後氷期の東ユーラシア
第7章 海を越えたホモ・サピエンス━ニア・オセアニア
海の向こうの有袋類の国
ニア・オセアニアという概念
現われ、消えたサフルランド
どうやって海を越えたか?
渡来の年代論争
巨獣たちの絶滅
世界最古の航海の背景
渡来してきた人々
頭骨の人口変形といくつかの世界最古
タスマニア島で起こったこと
ディンゴを連れてきた人々
アボリジニのロック・アート
赤道直下の巨大な島
ニューギニアの文化と農耕の起源
第8章 未踏の北の大地へ━北ユーラシア
人類未踏の地
寒冷地克服の条件
ロシア平原への進出
マンモスの骨の住居
メジリチ遺跡
スンギールの豪華な墓
シベリアの大地
シベリアの先住民像
北方モンゴロイドの成立
シベリアへの本格的進出
マリタ遺跡
細石刃の登場
極地への進出
さらなる東への道
第9章 一万年前のフロンティア━アメリカ
アメリカ先住民
先住民のルーツ
消えた平原ベリンジア
超巨大氷床
最古のアメリカ人論争
クローヴィス文化
南アメリカの魚尾方尖頭器
大絶滅の謎
一万年前のフロンティア
第10章 予期しなかった大躍進━農耕と文明の起源
狩猟採集か農耕か
後氷期
農耕はどのように起こったk
食糧生産を行わなかった人々
アフリカのその後
第11章 もう一つの拡散の舞台━リモート・オセアニア
大拡散の最終章
リモート・オセアニア
島の環境
ヨーロッパ人による太平洋探検
彼らの故郷はどこか
カヌー文化揺籃の地
ホクレア
古代カヌーの発見
拡散した人々
ラピタ集団のメラネシア拡散
ミクロネシア。小笠原諸島への拡散
ポリネシアへの拡散
拡散を終えて
エピローグ
歴史を方向付けてきたものは何か
文化の多様性とは何か
あとがき
口絵の「私たちの共通祖先」16万年前のホモサピエンス化石ヘルト1号:「アフリカ単一起源説」の証拠
2010年7月号 - ナショナルジオグラフィック
Wikipediaホモ・サピエンス・イダルトゥHomo sapiens idaltu
参考(歴史用語)
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